新型コロナ関連用語から見る日中感染対策
黄 文葦
昨年から中国のネット上、マスコミにて、新型コロナ関連用語がどんどん出てくる。毎日のように、それら単語を目に留まる。そして、新型コロナ関連情報をチェックし、日本と中国の感染態勢と対策を比べたりしている。
【疫情】 疫病の流行状況を「疫情」という。「疫情」には「国内疫情」と「海外疫情」がある。
【新增】 「新たなに増加」ということ、日本語で「新規感染者」のこと。中国の各地政府とマスコミが毎日朝8時頃に「新增」を発表する。 一方、日本の新規感染者人数が、曜日によって増加あるいは減少の傾向がある。月曜日が相対的に少なく木曜日は相対的に多い。PCR検査の結果を集約するまで3日程度かかるためで、速やかな分析や対策の判断は難しいではないか。
【清零】 「清零」は、本来、リセットする意味合いがある。現在、感染者がゼロになることを指す。中国の社会世論が「清零」に執着を持っている。感染者がゼロにならないと、大衆は安心できない。感染者がちょっとだけ多くなったら、恐怖心を持つはずである。 東京では、新型コロナウイルスの新規感染者が「1日500人」で緊急事態宣言を解除すると言われる。日本と中国、同じウイルスと戦っているはずだが、認識の差があまりにも大きい。
【密接】 親密に接触すること、日本語の「濃厚接触」に相当する。中国では、一人で感染すると、隔離される「密接」の人が大勢いる。 例えば、1月9日と1月10日に、北京で2人の感染者と5人の無症状感染者が報告されたが、家族のクラスターだという。当初、濃厚接触は432人であった。中国では、濃厚接触者について、判断基準は日本より厳密であるかもしれないが、中国の社会活動の中、人と人の距離が日本より近いとみられる。
日本では、会社の中、感染者が出ても、職場の濃厚接触者がいないと判断されても普通であるらしい。家庭の中、夫が新型コロナウイルスの陽性であっても、妻は陰性であるかもしれない。もともと、人間同士の間、親族関係の人たちでも、ちょっと距離を置く習慣があるではないか。
【流调】 感染病・流行病学調査の略称、局所的な感染を抑制するためには、感染源を知り、誰が感染しているかを調査する。この仕事を「流调」という。 一人一人の感染者に対し、中国側が厳格に真面目に活動経路を調査し、その情報を公開する。感染者がかつて滞在した場所、人達が避けるようになる。
行動者の活動経路などを含める調査の内容を公開するので、ネット上に、「「流调」から人の性格から人生の軌跡まで丸ごと見える」というコメントがあった。
日本では、十分にプライバシーを考慮し、新型コロナ感染者に関する個人情報を公開するわけにはいかない。
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