中国に関する質問(三十五)

 「中国では、「お笑い芸人」がいなさそうだが…」 

 【質問】 

中国でも「お笑い芸人」がテレビを席巻しているのですか?いちばん人気があるのはどんな人物なのでしょう? 

 【回答】 

中国では、「お笑い芸人」という存在がなさそうですが、「喜劇小品」(スケッチ・コメディー)という形式の演出が人気あります。「喜劇小品」は「小品」、「短劇」とも言えます。「小品」を演出するタレントは「お笑い芸人」と似ているのです。 

 「小品」は、1人または2人の俳優、あるいは複数の人が出演する短い(通常15~20分程度)コメディー番組のことを指します。 簡単なストーリーがあり、ユーモアな台詞とアクションで演出、いくつかのコメディー効果を達成することを目指す。通常は舞台やテレビで上演されます。 中国の初代コメディアンである趙本山・宋丹丹・潘長江は、コントを披露することで知られています。特に、趙本山(チャオ・ベンシャン)は遼寧省鉄嶺市下の開原市出身で、中国・東北部の地方芸能である「二人転」と「小品」の俳優として有名になり、二人転や小品が全国で有名になったのは趙本山のおかげだと言わざるを得ません。 

 「小品」と同じように観客を笑わせることができるもう一つの芸術、それが「相声」です。テレビでよく見られる「お笑い」の「相声」は落語・漫才に類する演芸です。「相声」の代表的にコメディアンを言えば、郭徳綱という名前を挙げたいと思います。 郭徳綱の努力と相声業界の活性化は切っても切れない関係にあります。郭徳綱の相声は人々の心に寄り添っていると言われています。ポイントの一つは、郭徳綱がお笑いの人気の本当の理由を見抜いたことです。 

 それは、観客に近い存在でなければならず、観客が好きなお笑いを言ってこそ、観客はそれを生で聞くためにチケットを買うようになるのだと思われます。 2017年、郭徳綱氏は自身が率いるパフォーマンスグループ・徳雲社のワールドツアー日本公演を東京国際フォーラムの5000人収容可能なホールAで実施しました。日本初公演を記念して、主催者は日本郵政と協力し、オリジナル記念切手を発売しました。 

 実は、中国のバラエティー番組は意外にも真面目な内容が多いそうです。というわけで、中国では「お笑い芸人」はバラエティー番組の中に身を置くではなく、「小品」「相声」という「芸」の中、生きています。 中国では、南方より、北方特に東北の地方で「お笑い」の「芸」が盛んでいるようです。中国の土地が広いので、南方と北方の文化が違っていて、南方の地域では、あまり「お笑い芸人」が生まれてこないだそうです。 

(黄文葦の日中楽話第32話より)

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