中国に関する質問(三十七)
若い世代にとって軍人になることは一つの「進路」だ
【質問】
中国の軍拡が世界の注目を集めていますが、この時代、若い世代にとって軍人は憧れの進路なのでしょうか?
【回答】
若い世代にとって軍人になることは一つの「進路」だと思います。「国を守る」「国のために戦う」という従来の軍人意識が薄いとみられます。 若者には、軍隊に入ることは、いくつのメリットがあります。
まず、国の優遇政策と地域の政策的インセンティブ。より多くの優秀な人材を積極的に入隊させるために、国は多くの優遇政策を導入しており、特に大学生の入隊に対する政策を強化しています。 例えば、大学の学籍の保持、授業料の補償、専攻変更の制限緩和、大学院入試での加点、「退役した大学兵」のための特別な修士号プログラムの設立などがあります。
また、兵役を終えて戻ってきた大学生をその都市に定住させるなどのインセンティブを設けているところもあり、北京や上海ではそのような政策をとっています。 第二に、近年、軍人の社会的地位の向上が顕著です。例えば、河北省は、省内の退役軍人に優待カードを発行し、退役軍人の優待カードを保有することで、「政府投資の公園、景勝地、観光景勝地、開放文化財保護単位などの入場料が無料になる」としている。退役軍事務部は、全国統一の退役軍人優待カードの発行も組みとっているところです。
第三に、軍隊の待遇が大幅に改善され、兵役が新たな「就職」となったことです。かつては月550元だった義務兵の手当が月1,000元になり、下士官や将校の給料はさらに飛躍的に上がった。伍長の給料は基本的に5,000〜7,000元程度、軍曹は7,000〜9,000元程度です。
第四に、現在中国の徴兵は主に大卒者を対象としており、社会の雇用圧力を緩和し、大学生に新たな就職機会を提供することが重要な理由の一つです。
第五に、軍隊には多くの機会と発展の余地がある。今、軍隊に入る人は、基本的には高校生か大学生が中心で、下士官への編入、士官学校の受験、幹部への昇進などが有利なので、今では多くの大学生が軍隊に入ることを考えています。
勿論、軍隊に入りたくない人も大勢います。軍隊の訓練は厳しすぎるし、今の若者たちは甘やかされすぎていて、苦労することができないようです。軍隊から帰ってきても、仕事はないし、低額の手当てしかもらえないし、むしろビジネスをした方がいいと思われます。今は大学進学の機会が増え、どの子も行こうと思えば進学ができます。
就職の動機で軍隊に入る若者と「軍拡」の政策をとっている政府の間にギャップが大きすぎるではないか、と疑問を呈しなくてはならないのです。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第33話より)
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