「食欲の秋」と「進補の秋」

【質問】 

中国でも「食欲の秋」という受け止め方はありますか? 

 【回答】 

中国の伝統では、秋には健康管理に特別な注意を払うべきだとされています。 立秋以降は、気温はだんだん冷涼化へと徐々に変化していき、朝晩は涼しいものの、疲れやだるさが出やすい気候になります。漢方の「春夏は陽を養い、秋冬は陰を養う」という原則によれば、この時期に「進補」はとても適しています。「進補」とは、滋養効果のある食物で栄養補給をすることです。 

 「進補」について、ネット上で、いろんなアイデアがあります。医者さんのアドバイスを紹介したいと思います。ご参考までに。 秋は「進補」に適した季節ですが、「進補」を乱用してはいけない。食べ物の適量に注意し、食の代わりに薬を使うことは避けた方がよい。中国人にも健康食品やサプリメントを摂るようになっているようです。

「薬補」より「食補」のほうがいいです。即ち、薬によって補うではなく、食のバランスをうまく取って体の栄養を補うことです。 栄養補助食品は、主に陰を養い、乾きを潤すためのもので、例えば、黒骨鶏、スッポン、「燕窩(えんか)」(ツバメの巣)、シロキクラゲ、蜂蜜、ゴマ、豆乳、ほうれん草、梨などがあります。 また、ビタミンや水分を豊富に含む果物を食べて、体に栄養を与えることもできます。雪梨(ユキナシ)は生で食べても、煎じて飲んでも、熱を取り除き、肺を潤してくれます。りんごも気を養い、脾胃を温めてくれますし、オレンジ、グレープフルーツ、柿なども熱を取り除き、肺を潤して咳を和らげてくれます。 

民間では、さまざまな「進補」の知恵があります。「進補」にふさわしい食べ物をいくつ上げます。例えば、蓮根には、乾燥を潤して喉の渇きを癒す、熱を冷まして食欲を増進させる、心を澄ませて精神を落ち着かせるなど効果があり、「進補」に適すると言われます。 

 ピーナッツの栄養価は非常に高く、不飽和脂肪酸、アミノ酸、各種ビタミンが豊富に含まれており、適度なピーナッツの摂取は体内のコレステロールを低下させ、心血管や脳血管の健康を守ることにつながります。ピーナッツは「長寿の果実」とも呼ばれ、秋の補いに効果があります。 

 鴨肉は、秋の「進補」にもなります。 鴨肉は、タンパク質、ビタミンE、カルシウム、リン、鉄などが豊富で、陰を養い、腎を補い、胃を養う効果があるので、秋の鴨肉が最高です。 「食欲の秋」の言い方は中国にも伝わっているのです。日本のいろいろな秋の食べ物が中国で紹介されています。ところで、、「食欲の秋」以上に、中国人は冬に備えて秋にいかに栄養を摂取するかを考えます。「健康実りの秋」「進補の秋」になっております。  

(メルマガ黄文葦の日中楽話第54話より)

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