「大頭児子と小頭パパ」が典型的な中国家庭を描く

【質問】 

前号の「原生家庭」の記事を読んで、私は反射的に『サザエさん』が頭に浮かびました。この日本の国民的なマンガは中国の人々にも知られていますか? また、中国でもだれにも親しまれている家庭のマンガやアニメはありますか?(あるとすれば、どのような設定なのでしょう?) 

 【回答】 

 勿論、中国でも、『サザエさん』がたいへん人気を得ています。中国語訳は『海螺小姐』あるいは『海螺先生』です。評価が高そうです。「とても温かみのある家族ドラマ、とてもコミカルなセリフで作っている」、というのは中国観衆の感想です。 

 中国でも親しまれている家庭のマンガやアニメはあります。何人の若者に聞いてみたら、子供の時に、印象深い家庭マンガやアニメは『大頭児子と小頭パパ』『大耳朵圖圖』『熊出沒』などを挙げてくれました。 

 90年代に生まれた『大頭児子と小頭パパ』は現在でも愛されているようです。物語の中、いつも息子と一緒に遊んでいる父親は、子供の「親友」であるということは、やはり新鮮感があふれて、多くの家族が取り組まなければならない方向だとみられます。童話のようなストーリー展開で家族の日常を表現したこの作品には、中国のアニメーション映画ではあまり見られない、濃密な生活感があります。 

 アニメの主人公である大頭児子、小頭パパ、エプロンママは、典型的な中国の現代家庭、平凡な3人家族を形成している。息子と父親が毎日一緒に幸せになることで成長していく。何気ない生活の中で、いつも楽しそうな笑い声が響き渡り、家の匂いが漂っていたそうです。暖かな家が、愛の源となったという物語の雰囲気でした。 

 2013年11月に中央テレビ局のリメイク版「新・大頭児子と小頭パパ」がCCTV子供チャンネルの銀河劇場で放送されました。 『大頭児子と小頭パパ』に中国家庭の特徴が表れています。子供が「大頭」、母親が真ん中、父親が「小頭」、父親が主にアウトサイダー、母親が主にインサイダー(エプロン)で、彼らは典型的な現代中国の家庭教育のモデルです。 

 2019年、中国生まれのカナダ人映画監督であるドミー・シーの短編映画作品『Bao』が初の有色人女性としてアカデミー短編アニメ賞を受賞しました。Bao(包)は肉饅頭のことです。中国人の心に響いたアニメ映画でした。 

 一人の母親は日常の饅頭蒸しの中で、手に握られた饅頭は、魔法のように生き生きとした赤ん坊として命を吹き込まれ、母親はその「包」を自分の子供として、宝物のように手に持っていました。 しかし、徐々に「包」は母親と一緒にいることを嫌がるようになり、友達とドライブに出かけることを好むようになった。ある日、「包」がガールフレンドを連れて戻ってきて、家を出ようとした。母親は圧倒されて「包」を食べてしまいました… 

 監督は、中国の最も一般的な食べ物である饅頭を使って、中国の家庭全般の状況と、特に母親の子供に対する思いを伝えています。最後に饅頭を一口で食べてしまうという迫真のシーンは、子供を支配したいという中国の母親の気持ちを見事に表現しています。 海外で生活する中国の子供たちは、中国と外国の両方の文化に囲まれているため、中国式の家族のあり方に対する理解が深まっています。『Bao』は海外の中国の移民家族の間でも反響を呼びました。 

(メルマガ黄文葦の日中楽話第55話より)

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