「読書の秋」は中国から由来した?

【質問】 

中国でも「読書の秋」という言い方はありますか? 

 【回答】 

 現在、中国のネット上、「読書と思考の季節である秋」という表現がよく見られますが、日本のように「読書の秋」を定着するまで至っていないと思います。 

 中国では全体的に読書の状況を紹介します。2019年の中国の一人当たりの読書量は、紙の書籍4.67冊、電子書籍3.32冊の計7.99冊に達し、紙の書籍の読書量よりもデジタルの読書量が大きく伸びています。2019年、中国のオンライン文学のユーザー規模は4億6千万人に達しました。 

特に注目すべきは、2020年春、新型コロナが感染拡大期間で、一部のネットユーザーの読書量がかえって増加していることです。モバイルソーシャルプラットフォーム「MOMO」が約1万人のネットユーザーを対象に調査して発表した「2020 ネットユーザー読書報告」によると、ネットユーザーの56.2%が「読書量が増えた」と回答し、そのうち31.6%が「過去1年間よりも読書量が増えた」とまで答えています。 

中国の一人当たりの読書冊数は年々増加しているが、韓国の一人当たり11冊、フランスの一人当たり20冊、日本の一人当たり40冊に比べれば、確かに少ないです。しかも、中国の4歳から6歳の子供たちが主な読者層となっています。半数以上の親が、子どものために継続的に本を買ってあげたいと考えています。言い換えれば、中国には大きな児童書の市場があります。 

また、「読書の秋」について、古代中国では、文人・学者たちは秋に読書をする習慣があると思います。調べてみたら、「読書の秋」の由来は古代中国に遡ると発見しました。 中国、唐の文学者・思想家・唐宋八家の一人である韓愈(かんゆ)が書いた「符読書城南詩」という詩の中に、「灯火稍(ようや)く親しむべく/簡編卷舒(けんじょ)すべし」という節があります。「涼しい秋になったので、ようやく灯火の下で読書を楽しめる」というようなことです。 この韓愈さんの詩が、「読書の秋」=「秋の夜長は読書」のイメージの由来になったと言われているわけです。 

 他には、清朝乾隆帝の弟である詩人弘昼が「秋日読書」という詩を書きました。秋の季節に、いい風景に恵まれて、読書も作詩も佳境に入っているようです。 

微雨瀟瀟生嫩涼 

藕花零落満池塘 

地寛月到中天小 

気爽風過野水長 

観物無心参造化 

開編有得則文章 

佳辰好景登高近 

更索新吟入錦囊 

しとしと降る雨が池を冷やし、蓮の花が池に散っている。大地は広く、月は空の真ん中で小さく、風は涼しく、野外の川は長い。心を無にして物事を見て、万物を創造し育てることに寄せて、本をめくって、読み始めてから役に立つと思えば、それは良い文。良い時間と良い景色を満喫して、新詩を書く閃きを得るということです。 

(メルマガ黄文葦の日中楽話第57話より)

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