ポストコロナ、心の健康に気を付けよう

                                    黄 文葦

2021年10月1日、宮内庁は秋篠宮家の長女・眞子さまが「複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の状態にあることを明らかにした。宮内庁の発表などによると、2018年に新たに導入された診断名で、「自分には価値がない」と思い込む。感情が不安定になる。人とうまく付き合えない。幸せを感じられない。などなどが症状として挙げられる。 

反復的な虐待のほか、ネット上の誹謗中傷といった言葉の暴力でも引き起こされる。結婚する前の眞子さまが心の病を抱えられていること、本当に残念で、快復を心から願うばかりだ。 その心の病気に関する情報を見ると、いくつかの心配な結果が出てきた。英医学誌ランセットは8日、新型コロナウイルスの影響により、2020年に全世界で約1億3000万人が大うつ病性障害や不安障害になったとする論文を掲載した。 

女性や20代前半の若者が多かった。コロナと精神疾患の関係について、世界規模で調査・分析したのは初めてという。論文によると、20年に全世界で2億4600万人がうつ病になり、このうち5320万人はコロナの影響と分析。男性1770万人に対し、女性が3550万人と2倍に上った。 

また日本では、2020年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の件数は20万件を超えている。虐待を受けていた児童は毎年累積していて、おそらく100万人以上が複雑性PTSDで苦しんでいる。 勿論、日本だけではなく、 国連児童基金(ユニセフ)は10月4日、世界における10代の少年少女のうち少なくとも13%が、うつ病などの「心の病」と診断されていると推計する報告書を発表した。子どものメンタルヘルス(心の健康)に十分な関心が払われていないとして、各国政府にこの分野での支援拡大を訴えた。 

2020年以来、世界中、多くの地域では、新型コロナの感染拡大による休校措置などで子供が友人らとの交流が減り、心の健康に悪影響を及ぼしているという。友達が作れないことは、子供には大きな影響を与えてしまった。 

また、新型コロナ関する情報は、テレビやネット、SNSなどさまざまな媒体から流れてくる。その中には正確な情報も含まれるのが、誤った情報もあり、不安を招きやすいといえる。例えば、ワクチンに関するニュースは、真逆な情報を同時に飛び込んできて、圧倒的な判断力が求められる。 

日本での新型コロナの感染事情を気にして外出がおっくうになり、結果的にうつ病になってしまう在日中国人も大勢いる。中国と日本の新型コロナ対策を比較すると、中国のゼロコロナの意識から影響を受けて、日本での感染拡大をより危惧して見るのは当然である。 

ポストコロナ、心の健康に気を付けよう。知らないうちに、心身の状況はどんどん弱くなっていくかもしれない。当方としては、昨年以来、仕事もプライベートもオンラインで行うことが多くなって、疲れやすくなっているらしい。自然から遠ざかり、体を動かさず、いつもパソコンの画面を直視していると、脳や感覚の劣化が早まる可能性があるではないか、と心配している。 

眞子さまの例を見て、私たちは自分自身や周りの人々に気を配り、困っている人がいないか、コロナの中で精神的に参っている人がいないか、心に心の傷を負っている人がいないかを留意しなければならない。弱い立場の子どもたちには、よりタイムリーな支援が必要だ。 

一号館一○一教室

とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍