【ドラマ】『おっさんずラブ』生産性なんかクソくらえ

子持ちコンブ

こんにちは。熟れすぎた腐りかけ、子持ちコンブです。性懲りも無く2回目の記事とか、書いちゃったりなんかしちゃったりして。
今回は、生活に支障が出るくらいにハマっているあるドラマの話をしようと思う。


そのドラマとは…
「おっさんずラブ」。


見てた人います?ていうかむしろ見てない人なんています??いやもうここ最近のドラマの中では抜群の出来だったと思うし、漫画小説原作ばかりのドラマ界の中で、こんだけしっかり面白いオリジナルのもの出してこられるんだから、まだまだ日本のテレビドラマも捨てたもんじゃないよな〜(何様)


一応見てない人(だからそんな人いるの?)のために簡単にあらすじを説明すると、
実家暮らし独身恋人なし33歳の春田創一(田中圭)が、上司の部長(吉田鋼太郎)とルームシェアメイトの後輩・牧凌太(林遣都)からそれぞれ愛を告白され、自らの恋愛観・結婚観を見つめ直していくというラブコメディである。タイトル通りに言えば「ボーイズラブ(BL)」のおっさん版。なのでファンの間では「OL」と略されてたりする(ちなみにファンのことは「OL民」などと呼んでいたりもします)。


このドラマの良さについてはもうすでに多くの人が語っているので、わたしが言うことはもはや何もないのだが、子持ち的に考えさせられるところがあったのでそれについて書いておく。
それは、主人公春田創一と、彼に恋をする牧凌太の、両家族の描かれ方についてである。


牧は元々ゲイという設定なのだが(不思議なことにこの呼称はドラマ内では一切登場しない)、牧の母親と妹は彼の性的指向をあっさりと受け入れている。第6話にてカミングアウトされた父親も、「男が好きだ」という息子に驚きはしながらも否定はしない。
この牧家の描かれ方は実にリベラル的だ。


一方、春田の母親はいたって「普通の」親である。同じく第6話にて牧と偶然対面した際に、彼がゲイであることも息子が好きだということにも思い至ることはなく、「(息子が)早く結婚して欲しい」「孫の顔が見たい」「ずっと創一の友達でいてね」と何の他意もなく告げるのだ。
そしてこの春田の母親との会話の後、牧は全OL民を奈落の底に突き落とす選択をする…(いや、大げさでなしに)。


決してこの母親は同性愛に偏見があるというような描かれ方をしているわけではない。しかし、この母親の描写は無意識のうちに刷り込まれた"年頃になったら結婚し、子どもを作る"という「普通の」家族像の残酷さを、そしてそれを子に強要することの愚かさを暗に示しているように感じるのだ。


どちらが正しいとか正しくないとかの話ではないが、あえてそれぞれの家族を対比して見せることで視聴者に家族観のブレイクスルーを引き起こす…。作り手が狙ったかどうかは知らないが、おそらくそれがこのドラマの肝であったのではないかと個人的には思っている。もちろんわたしが理想とする家族像がどちらなのかは言うまでもない。


そういえばちょっと前に、「LGBTには生産性がない」とかなんとか言ってた人がいたなぁ。
この「おっさんずラブ」、Twitterトレンド世界一位(日本一ではない)を2回、公式ブック・サントラ売り上げ一位、キャストの写真集の再版増刷、展覧会の全国開催…と深夜帯ドラマとしては異例の話題性と経済効果を上げている。
円盤売り上げに関しては史上初の記録を打ち立てた。

こんなに生産性の高いドラマも、そうないと思うんだけどね〜。


一号館一○一教室

とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍