中国に関する質問回答(十九)
「責任」について、中国ではどのような捉え方がされているのか
★【質問】
黄さんが指摘されたように私も新型コロナ対策では中国に見習うところが多いと思います。そもそも、日本ではGo Toキャンペーンひとつにしても、だれがどんな責任を負っているのかわからない、そうした責任のあいまいさが諸悪の根源と指摘されています。「責任」という言葉は中国の古典に由来するそうですが、中国ではどのような捉え方がされているのでしょうか?
【回答】 「責任」について、日中比較をすると、最初に思い浮かべるのは、仕事に対し、普通の中国人より、普通の日本人がもっと責任を持つという印象です。「勤務中、仕事をさぼる」というゲームがあり、一部のサラリーマンが仕事中ゲームをしたり、「油を売ること」をしたりをしても罪悪感がなさそうです。
「責任」という言葉は中国の唐代の正史である「新唐書」によるものです。現在、中国人が一般的に、責任に対しての認識は、やらなければならないこと、引き受けなければならないこと。例えば、仕事の責任、社会的責任、家族的責任などがあります。
因みに、中国の官僚システムには「官員問責制」があり、つまり、役人の責任を問う制度です。 それは、政府とその役人が、行動と結果のすべてについて説明責任を負わなければならないし、責任を問うシステムです。 要するに、様々な形の責任制約を通じて政府の権力と役人の行動を制限・規制し、最終的には国民のために権力を行使することで、責任の強化・明確化と政府運営の改善を図るのが現代政府の有効な仕組みだと規定されているようです。
近年、「官員問責制」で多数の役人が汚職で免職処分されました。その中、「権力闘争」のようなものもあると思います。 新型コロナの対策について、日本では、責任のあいまいさが諸悪の根源と指摘されていますが、中国では責任の所在がはっきりしており、武漢で感染拡大が発生された後、数人の官僚が管理の不備で感染拡大をさせてしまったので、懲戒処分の対象となり、さらに、罷免されるまでになりました。
それ以後、官僚は誰も「烏帽」(官職)を失われたくないので、中国の地方政府が人の外出を制限、大学を封鎖、厳格な隔離、大規模なPCR検査など厳しい措置が続々ととられているようです。
新型コロナの対策に関して、地方の官僚たちは責任が重すぎると文句を言っているようですが、責任を取るよりメンツと利益を保つほうが大事ではないか、と民衆が指摘しています。
日本と中国、新型コロナの対策に関して、役人の責任の取り方はずいぶん違っています。
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