中国に関する質問回答(二十)

 【質問】 

日本のテレビのバラエティ番組のくだらなさにはもはや怒りさえ覚えます。中国のテレビの一般大衆向け番組事情はどんなふうでしょう?やはりお笑い芸人が席巻しているのですか?そもそも苛烈な視聴率競争はあるのでしょうか? 

 【回答】 

「お笑い芸人」と「クイズ番組」は日本の独特なテレビ現象だと思われます。 中国のバラエティ番組でも雰囲気が賑やかですが、日本のバラエティ番組のようにずっと「笑っている」の性格と違っています。大衆参加型のバラエティ番組が多数あります。 バラエティ番組はいくつのパターンがあります。 

 〇まず、教養内容のバラエティ番組。例えば、中国中央テレビ(CCTV)の視聴者参加型の「詩詞大会」という番組があり、中国の古典文化である唐代の詩、宋代の詞を出演者が朗読する。出場者は最年少が幼稚園児、最年長は70代。出場者が素晴らしいパフォーマンスを披露してくれている。例えば、二人の出場者が漢字の一文字に巡って、古詩の暗唱を競うことです。 例えば、出場者が「月」を見たら、「明月幾時有 把酒問青天」(宋の詩人蘇軾の詞「水調歌頭」)を直ちに朗読し、「一」を見たら、「一年三百六十日,風刀霜剣厳相逼」(古典文学「紅楼夢」の「葬花」の段)という詩を言い当てました。この番組には老若男女問わず皆が好きらしい。 

 〇次に、結構本気度高いお見合い番組があります。 テレビのお見合い番組は、番組に自主的に申し込んだ男女を招待し、番組で日本の合コンのように男女を分けて、対面に座る。司会者の段取りに従って、男女がお互いに質問をしたり、ゲームをしたりなどを介して2人の男女の間でお見合いを成功させることです。 江蘇衛星テレビのお見合い番組である「非誠勿擾(If You Are the One)は一番人気らしいです。「非誠勿擾」とは中国のインターネット上の結婚相手募集の広告でよく使われる言葉で、「誠実なお付き合いができる方以外はご遠慮下さい」という意味です。

 〇アマチュア歌手争奪戦・プロ歌手争奪戦のバラエティ番組は、結構人気が高いです。アマチュア歌手争奪戦はNHKの「のど自慢」みたいな感覚ですが、より緊張感があふれて、競争が白熱する模様です。 

 〇また、芸能人・有名人のトーク番組も面白そうです。司会者と出演者、対談のカタチでプライベートなことをも含めていろんな物語を引き出されます。 中国では、「笑い芸人」という存在がなさそうです。日本のアイドルが主役のバラエティ番組である「嵐にしやがれ」に似ている番組もあるのです。出演者はほとんど役者・歌手です。 

 中国の芸能人が社会問題・政治問題について、あまり意見を言わない(言えないかもしれませんが)のです。日本のお笑い芸人は時には専門家に変身したりしているのですね。 中国のバラエティ番組は、時にはイデオロギーの色彩が濃厚ですが、例えば、毎年春節(旧正月)の前日に放送される中国中央テレビ春節聯歓ガーラです。全体的に言うと、中国のバラエティ番組は日本より真面目だという印象です。また、中国のバラエティ番組にはそんな視聴率に気になっていないようです。広告費は結構潤っています。  

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とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍