あおり運転と路怒症、なぜ現代人は常に不安で落ち着きがないのか
黄 文葦
この2、3年間、「あおり運転」という言葉はよくマスコミに使われている。「あおり運転」で逮捕される人も続々と出ている。
「あおり運転」とは、道路を走行する自動車などに対し、周囲の運転者が何らかの原因や目的で運転中に煽ることによって、道路における交通の危険を生じさせる行為のこと。 中国の友人に「あおり運転」のことを尋ねたら、「路怒症」という言葉を教えてくれた。文字通り、「路上で怒り出す症状」という意味。「あおり運転」と似ている。
「路怒症」の症状は以下の通りだ。
症状1:運転中の「罵声」が当たり前になっている。
症状2:運転中の感情が暴走しやすく、ちょっとした渋滞や衝突でも衝動的に襲ってしまう。
症状3:人と 「争う 」のが常態になって、わざと自分の車線に人を入れないようにする。
症状4:気質や気分は、運転している時としていない時が極端に異なって、別人のようなもの。
症状5:前の車が少しでも遅いとクラクションを鳴らし続けたり、ライトを点滅させたりする。
症状6:急ブレーキや急加速、車に追従しすぎるなどの危険運転をする。 中国の交通事故死者数が最も多かったのは2002年で、10万人を超えていたが、それは中国の自動車保有台数が2,000万台を超えていた頃で、2019年には中国の自動車保有台数は2億5,000万台に達した。2019年の中国における自動車交通事故死亡者数は56,934人。自動車保有台数が10倍になった一方で、中国の交通事故死者数は減り続けている。
しかし、中国では、車運転の質はあまり改善されておらず、赤信号での走行、スピード違反、過積載、無造作な車線変更などが平然と行われているのが現状だ。「路怒症」がすでに社会問題になってしまった。 中国科学院心理学研究所の張雨青教授が主導した「都市の混雑とドライバーの不安」に関する研究によると、北京、上海、広州のドライバーの35%が自身は「路怒一族」に属すると答えている。 また、ある調査では、回答者の56.99%が自分を「路怒一族」と考えており、基本的に運転年齢の上昇に伴い、人口に占める「路怒一族」の割合が増加していることがわかった。中でも、運転経験10年以上の方が自分を「路怒一族」と考えている割合は88.89%と最も高くなっている。
調査によると、ドライバーの「路怒症」は、渋滞、悪天候、自動車事故、他のドライバーの横暴な運転など、運転中に直面するさまざまなストレスによって引き起こされるという。
「路怒症」の処方薬と言えば、専門家によると、「音楽を聴く」、「ガソリンスタンドで休憩する」、「ガムを噛む」など、ドライバーが運転中のイライラを解消するためによく使う方法だ。 ほかには専門家のアドバイスとは、車内に嫌な気持ちを持ち込まないように、自分自身のストレスを解消することを学ぶ。車内を適切な温度に保つことで、感情をコントロールすることができる。慌てて忘れ物をして不安にならないように、外出前の準備をしっかりしておくこと。路上で言い争いをせず、一歩引いたところで運転する。車内では落ち着いた音楽を流すなどなどある。 あおり運転と「路怒症」が現すこと、なぜ現代人は常に不安で落ち着きがないのか。あおり運転を厳罰化した改正道路交通法が施行された昨年6月30日から12月末日までの半年間で、28都道府県の警察が58件を摘発したと警察庁が公表した。
21年前に筆者は日本に来たとき、日本人は非常に穏やかで、全然喧嘩をするようには見えないという印象的であった。近年、公共の場や電車の中で、時には喧嘩する人を見かけたことがある。経済低迷のせいで、コロナ禍で怒りっぽい人が急増するという説もある。そういった人たちが車を運転すると、精神状態がさらに高ぶる状態になるかもしれない。
一方、中国では、経済発展につれて、多くの人は、生きる目的は消費することであり、できるだけ多くの消費をすることであり、社会構造はより多くの消費をする人を奨励するとなってしまった。 消費しない、あるいは消費する余裕がないと、社会の片隅に追いやられ、他人から差別される。このことは、「豊かな社会」にいる個人に緊張と負担をもたらす。より多くのお金を使う人は、強気な姿勢を身につける。
「路怒症」の発症者の多くは高級車を運転する人たちだそうだ。派手な車を運転して、街中で暴れまわって、他の人は自分に道を譲らなければならないと思っているらしい。一部の人が車の中でもとても上から目線で、人と争うことを恐れずに、お金持ち、権力者の家に生まれた人もいる。
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