中国に関する質問回答 (二十二)

★【中国の「丁克家庭」と「妊活」】 

 【質問】

毎回「中国日常」を興味深く読んでいます。親が子どものためにすべてなげうって犠牲となるレポートには痛ましさを感じましたが、逆に、子どものいない夫婦はリッチな生活を楽しんでいるのでしょうか、それとも肩身の狭い思いをしているのでしょうか?また、いま日本の国会で盛んに議論されている「妊活」は中国でも重要な社会的テーマとなっているのですか? 

【回答】

近年、中国では、子どものいない夫婦が増えている傾向がみられます。子供いない家庭は「丁克家庭(Double Income No Kids(DINK))」だと言います。中国では1980年代から丁克家庭がひっそりと登場しています。 かつては、「丁克家庭」は他人に話題にされ、「身体に問題ある」を疑われることさえありましたが、現在、中国社会にも段々と子持ちことに対する価値観が多様化しているようです。

 「丁克家庭」は「収入はダブル、子供はいない」とのこと。「丁克家庭」には「アクティブタイプ」と「パッシブタイプ」があります。前者は、夫婦ともに子どもを産むことができるのが、子供を産まないと選択すること。後者は、夫婦の一方または両方に生理的に子どもを産む能力がなく、子どもがいない家庭を指します。 

 どちらにしても、「丁克家庭」は肩身の狭い思いをしなくリッチな生活を楽しんでいるはずです。ただし、親から孫がほしいというプレシャーがあるかもしれません。 長い間、一人子政策が実施されてきたのですが、現在、政府から親から二人目の子供を産んでくださいといわれても、若い夫婦が一人子でよい、あるいは子供がいらないと選択する人が圧倒的に多いです。現在の中国社会には子供を育つにはたいへん経済力が必要です。 筆者の中国の友人の中、子供を産まないことを選択する人もいます。その理由は単純で、「自分の人生、夫婦二人の人生を存分に楽しみたい」ということです。 資料によると、世界には約6000万~8000万組の不妊夫婦がいて、中国には少なくとも1000万組の不妊夫婦がいるといわれています。中国の多くの病院では、不妊専門があります。でも、日本ほど「妊活」が重視されていないようです。政府から補助金などもなさそうです。人口の基礎はまた堅実でしょう。  

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とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍