なぜ、中国人が日本語を好きになるのか

                                 黄 文葦

中国マスコミによると、昨年、新型コロナウイルス感染が中国全土に拡大し、そのため、中国全土の小中高校は、オンライン授業やオンラインでの宿題などを取り入れた。意外にも、小中高校生の中、日本語勉強のムードがあった。 

 日本語を積極的に学ぶムードを盛り上げようと、人民教育出版社課程教材研究所は昨年4月から、「声で成長を記録し、色彩で希望を描く」をテーマにした日本語学習成果募集イベントを始めた。同イベントは、中国全土で日本語を勉強している小中高校生を対象とし、日本語の筆記、朗読、作品デザイン、手工芸、歌、ダンスパフォーマンスなどの部門が設けられた。 

 中国人が日本語に特別な親近感を持っているのは、まず、日本語の中に漢字があるからだ。抗日映画やドラマに出てくる日本語は滑稽に見えるのが、実は人々は日本語に好奇心を満ちている。20年以上前、当方が日本に来る前に、自宅近くの小さな店で、時間があればそこで日本語の発音を練習する店員さんがいた。その時、彼女に「なぜ日本語を勉強したいのか」を聞かなかったのが残念だ。 

 日本語を好きな理由はいろいろあるのが、多くの人が日本語はカッコイイ言語と思われる。 日本語のかっこよさは、まずアニメから始まり、日本のドラマ、歌などまで広がっている。日本文化輸出の域にあるものばかりである。当方が取材した留学生の中、日本語の歌を通して日本語を独学できた人もいる。 

 現在、日本語を学んでいる人は、世界で約380万人、そのうち、中国が最多の100万人以上を占める。中国で日本語を学ぶ中高校生が激増している。中国の大学入学試験「高考」の外国語受験科目として、英語の代わりに日本語を選ぶことで得点が取りやすいという情報が広まったためだ。中国のネット上には日本語での高考受験を勧める塾などの広告があふれる。 

 「なぜ、日本語が好きですか」、数人の日本語を勉強している中国の学生に聞いてみた。 

「日本に行けば、日本語が話せず爆買いする人たちと違って、景色や人を楽しむことができます。」 「日本のマンガやドラムを見るには、その真意を理解するために日本の文化や歴史、人物への理解を必要とするものがあります。日本語を学ぶことで他人よりも理解が深まります。」

 「友達と一緒にカラオケに行く時、日本語の歌を歌うと、友達の間で注目を集めることができます。」 

「日本語を知らないファンよりも、流暢で純粋な日本語で好きな日本のアイドルを応援できますね。」 

「日本語と中国語は共通の起源を持っており、日本語を勉強することで、中国語や伝統文化をより深く理解することができる。日本語の学習者は、礼儀作法の面で非常に伝統的な文化的感覚を持つと言われる。そこには日本語そのものとのつながりがある。」 

「中国は日本にとって2番目の貿易相手国であり、日中間の貿易は非常に頻繁に行われており、中国に進出している日本の外資系企業の数も非常に多くなっています。日本語をしっかり学んでおけば、外資系企業に入ったり、翻訳者として働いたりすれば、生活レベルを上げることができるでしょう。」

 中国の若い人たちがこれだけ日本語を学んでいることを、日本人は理解してほしい。真の中国と中国人を認識してほしい。 

一号館一○一教室

とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍