新型コロナ時代、中国では意外にも死生観に関する教育が重視されるようになった
黄 文葦
新型コロナ時代、中国では意外にも死生観に関する教育が重視されるようになった。ずっと、「死」に対する「忌み」は非常に深い。 2019年は新型コロナの感染拡大により、中国では、「死」という重いテーマを避けて通ることはできなくなった。世の中、感染症が発生時には、生と死の概念が急に身近になる。
毎日、世界中、生と死にまつわる数字にさらされている。感染者人数、重症者の人数、死亡者の人数… 国や民族を問わず、数字の背後には生き生きとした命があるはずだ。 特に、2020年感染初期、武漢で凄まじい医療崩壊が発生し、多くの命がなくなったことを人々に衝撃を与えた。さらに、新型コロナの感染拡大は、厳格な人々の心に恐怖、迷い、疑問をもたらした。未知のウイルスが生命を脅かす可能性があることを過度に想像し、死を過度に恐れて科学的判断から遠ざかっていることにある。死を恐れて生きていると、人生の面白みはほとんどなくなってしまうではないか。
一部の在日中国人留学生は、日本では緊急事態になっていたため、外出が億劫になり、中国に帰国するかどうかを悩んでいる人もいるようだ。 2020年5月に開催された中国人民政治協商会議の全国委員会第13回会議では、ある委員が提案の中で「新型コロナの後、社会全体の死生観教育を強化するべきだ」を提案した。それに対し、中国の教育部は公式サイトで公開回答している。
教育部は、新型コロナの発生以来、社会全体の死生観教育を重視しており、死生観教育と思想・政治教育、精神衛生教育との密接な融合、社会全体の生命の価値に対する正しい理解と知識の育成、国民の心理的資質と精神力の向上に力を注いでいることを示している。 教育部は、関連する仕事を推進するために、様々な対策を講じている。その中の一つは死生観教育を学校の授業に組み込むためのカリキュラムの構築である。
中国の国家経済社会発展統計公報によると、2019年に中国で死亡した人は998万人で、死亡率は1,000人あたり7.14人となっている。つまり、1分間に約19人、1秒間に0.3人の死亡者が出ていることになる。ただ、中国は、欧米や日本、韓国などに比べて「死の教育」が遅れているようだ。死をテーマにした教育はほとんど行われておらず、開講している大学は20校にも満たない。 中学生を対象とした2020年のある調査では、学校の授業で死に関する知識を得ることを望む人が58.4%、どちらでもよいと答えた人が24.0%、その知識を得ることを望まない人は17.6%しかいなかった。2019年には、全国人民代表大会代表で北京大学病院の主任医師である顧晋氏が、死と生を尊重させるために小中学生から死の教育を導入することを提案した。
昨年末、常州のある幼稚園で「死」についての講座が開かれた。先生の指導のもと、子どもたちは玉虫の「お葬式」をすることができた。話題は玉虫の死から生命教育の絵本へと広がった。この話題は中国版ツイッターのWeiboに掲載され、中央テレビ局が主催した世論調査では、投票者の58.6%に当たる270人が、幼稚園での「死と命の教育」を支持した。 中国の個々の前衛的な大学では、今世紀に入ってから死生観教育の実験が行われており、例えば、2000年には広州大学の胡宜安教授が初めて選択科目「生と死」を開講している。胡教授は、価値観を議論するためには、生命の存在論が前提となると考えている。 健全な死生観は、若者が人生を徹底的に理解するのに役立つという。
胡教授は、学生たちに遺書や墓碑銘を書くことで「死」を体験もらう。現在、「生と死」講義はネットで多大な人気を集めている。
「生と死」の誕生から6年後、山東大学基礎医学院の准教授である王雲嶺氏は、「死の文化と生死の教育」という授業を開講しており、同様に頗る人気のある選択科目となっている。一つのクラスに120人の定員があり、くじを引かないと選べない。数年前には、3つの大学講座プラットフォームで公開講座としてもスタートし、毎学期2万人以上の方が受講している。
新型コロナ時代の中国では、遅れていた死生観教育の需要が日増しに高まっていくことが予測されており、死生観という課題は生涯にわたって学び直さなければならないものだ。
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