中国でも「曹操ファン」は多い?
【質問】
岩波文庫に魏の曹操と子息たちの詩文集が収録されて、日本人の嗜好が改めて浮き彫りになりました。中国でも「曹操ファン」は多いのですか?
【回答】
曹操は、中国人なら誰でも知っている歴史上の人物です。何世紀もの間、曹操は様々な評価を受けてきました。彼を天下の英雄と讃える者、彼を滅ぼす者・裏切り者・反逆者と呼ぶ者、いずれもいます。 曹操が北方を統一した歴史的功績は、歴史的事実です。北方統一の戦いで、曹操は優れた才能を発揮し、官渡の戦いで北方統一の基礎を築いたのです。
曹操は軍事家であり、詩人、文学家でもあります。曹操の作品である「短歌行」の中、「對酒當歌 人生幾何」という名句は千年経っても人たちに魅了されています。 「正史三国志」に出てくる曹操の有名な言葉には「寧我負人,毋人負我!」(私が人を裏切ることがあろうとも、他人に私を裏切らせるような真似はさせん)がります。文学作品の中の曹操は邪悪で狡猾、冷血な面もありますが、寛大で人材を愛し、純粋な面も持っています。
現在の中国人から見れば、曹操は男から羨ましがられる男です。曹操の人生は、歌、詩、酒、美人、戦い、世を楽しむ人生であり、欲しいものをすべて手に入れた曹操の人生がうらやましいということです。 中国で俳優として活躍し、中国の伝統文化を愛する一人のアメリカ人が、自分の中国語名を「曹操」と名づけた。かっこいい名前だと思ったし、曹操は賛否両論あるが、とても颯爽とした人物であったということです。
作家塩野七生の本は中国でも出版されました。塩野さんの著書「逆襲される文明」の中、「中国に行ってきました」という一節があります。中国の記者会見で、歴史認識を聞かれた際に、塩野さんは「歴史事実は一つでも、その事実に対する認識は複数あって当然で、歴史認識まで一本化されようものならそのほうが歴史に接する態度として誤りであり、しかも危険である」と答えました。
さらに、読者交流会では、「中国史上の人物では誰が好きか、と聞かれた際に。塩野さんの答えは「曹操」。何故なら、「セクシーだ」の一言でした。その場で、直ちに中国の聴衆が笑ったということです。皆が「曹操はセクシーな人だ」にたいへん共感したらしいです。
いろんな意味で、中国では、曹操のファンが多いそうです。
(メルマガ黄文葦の日中楽話第81話より)
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