新幹線と寝台列車の旅

                                  黄 文葦

昨年7月、福岡に一泊出張した。結構遠いので、飛行機を選ぶ人も多いだろうが、私は迷わず新幹線を選んだ。福岡へ行き新幹線の名は響きがとてもいい「のぞみ」である。 新幹線を選んだ理由を言えば、まず、新幹線は私の最も好きな交通手段である。新幹線には穏やかな性格を持つ。いつも新幹線の発車に感心している。無音で、静かでスムーズな発進とゆっくりとした加速… 飛行機では大体雲しか見えないのが、新幹線の窓からは日本の風景が見え、時には、一度の旅で春夏秋冬の景色を実感することができる。新幹線から眺める日本の風景は、決して狭くはなく、広大で果てしない… 

 5時間の新幹線の旅は、私にとってとても充実したものであった。新幹線の中では、勿論景色を眺めるだけでなく、読み書きをすることもできた。文庫本を読んだり、エッセイを書いたりすることで、贅沢な5時間を過ごした。

勿論、5時間の間、ずっと座っているわけではなく、新幹線が駅に着くたびにちょっと立ち上がり、動き回りました。 

新幹線の中、もう一つの楽しみは、駅弁である。東京駅で買ったお弁当を、新幹線が京都駅から大阪駅までの間で食べる。心の中、東京の味と関西の風景を融合する。そうだ、一つ面白い発見がある。大阪から東京までの新幹線の中、551 肉まんを食べる人が多い。私もその中の一人。多くの人が大阪駅構内の店で、551肉まんを買って、関西の名物と思いを東京に向かむ新幹線の中でしっかり味わう。

今回、留学生に向ける進学説明会に参加するために福岡に行った。中国人留学生が多い東京と違って、福岡にはいろいろな国の留学生がいることに驚いた。あるネパールからの男子留学生が、東京へ行きたいと言ってくれた。 

 「東京に行ったことがありますか」と聞くと、「1年前にネパールの空港から東京の成田空港に着いた。それで東京にいたことになるのでしょうか?」と留学生は答えてくれた。 

「これでは東京に行ったとは言えないですね。空港の名前に東京と入っているが、実際は空港が千葉にあります」、と教えてあげたら、男子留学生は笑いながら、「そうですか。ますます東京へ行きたくなりました」と言った。 私は、新幹線で福岡から東京に行くことをネパール留学生に薦めた。これなら、濃縮の日本景色を堪能できる。彼はまだ新幹線に乗ったことがないそうだ。喜んで新幹線の旅の提案を受け入れてくれた。 

90年代に故郷の福州から北京に行ったことがある。行きは飛行機、帰りは寝台列車で長い2泊3日を過ごした。各駅での停車時間が長く、列車から降りて駅を出て当地の名物おやつを買ったりして、とても思い出に残る体験になり、中国大陸の半分を横断し、時空的に壮大な列車の旅であった。 

 さらに面白かったのは、同じ寝台車両にいた数人が、3日間一緒に食事をしたり、ポーカーをしたり、上司の悪口を言い合ったりして、仲良くなっていたことだ。因みに、90年代、寝台車両の切符を簡単に買えない。政府機関の知人に頼んで買って貰った。 因みに、中国の列車には、一等寝台の定員は四名の個室寝台。二等寝台は上・中・下の三段階(「上铺」「中铺」「下铺」)に分かれた開放寝台。その時、自分は二等寝台を体験した。その時代、一等寝台は権力者など偉い人の専用ものであった。現在は、お金があれば、誰も頭等席に座れるだろう。 

 新幹線でも中国の列車でも、大地を駆け抜ける感覚は元気を引き出す。そういえば、日本の寝台列車を乗ったことがない。2016年、寝台特急「カシオペア」が運行終了されて、残念だと思った。復活できたらいいな。 今回の福岡の旅、ある地下鉄路線の車内はフローリングであることを発見した。そして、新幹線の床にもフローリングになったらおもしろいな、と想像を馳せる。自分はもし生まれ変わったら、新幹線のデザイナーになりたい。 

一号館一○一教室

とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍