中国の月探査プロジェクトについて、中国の人々の思いは?

【質問】 

 このところ中国の月探査プロジェクトが世界的な注目を集めていますが、中国の人々はどのように受け止めているのでしょうか? 

 【回答】 

 自国が宇宙に進入することは、一般の中国人にとっては誇りだと思われます。自国が強くなって世界中の人たちから注目されることは誇らしいですね。世の中、中国が生き残り、自国を守るために、より強い科学技術と軍事力を持ちたいのであれば、宇宙開発をしないわけにはいきません。

一方、宇宙開発の背景には、中華民族の栄光と誇り、そして次世代への責任があります、と一般の中国人はこういうふうに思います。 一部の識者、学者たちは違う見解を持つと思います。昔から、宇宙事業はお金の無駄遣いだという声があります。宇宙開発に使うお金は、貧しい地域の支援と教育に使うべきだと主張する人が結構います。 

 しかし、中国では、宇宙産業は中国政府が主導する重要な事業です。国力と密接に結びついています。だから、政府系メディアもこのような論調でプロパガンダを行います。 1956年、中国初のロケット・ミサイル研究機関である国防部第五研究院が科学家の銭学森を所長として設立され、中国の宇宙開発の幕が開きました。ロケット開発の初期は、中ソ関係の悪化もあり、中国独自で試行錯誤を繰り返しながら一歩一歩前進していくしかなかったのです。 

 長い自主探査を経て、1970年、ついに中国初の人工衛星「東方紅1号」が打ち上げられ、中国が人工衛星の技術を習得することに成功したと世界に粛々と発表しました。 現在、中国は、月探査プロジェクトの第一段階として、無人の月面着陸機を月面に打ち上げ、月の土壌を採取して持ち帰ることに成功しました。 

 その後、中国の月探査の第2ステップである有人月面着陸も、プロジェクトに関連する第3ステップで開始される予定です。このステップは、月面に恒久基地を建設し、それによって宇宙ステーションと同様に、宇宙飛行士の長期駐在を実現して、研究作業を運用することができます。中国の25トンの有人月面エンジン実験が成功し、中国の月探査プロジェクトがまた大きな一歩を踏み出したことが分かります。 

 中国政府は、2025年までに月に宇宙飛行士を送り込む計画を立てています。さらに、将来的には一般の人々も宇宙へ行くことができるようになります。昨年、日本の富豪の前澤友作氏はすでに宇宙旅行に参入しており、現在、一般の中国の人々も月旅行に憧れているようです。 

(メルマガ黄文葦の日中楽話第87話より)

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