僕とデュエットしてください!

『僕とデュエットしてください!!』
子どもが興奮してそう言ったのは、三味線体験での出来事である。


今、東京都内の学校では、オリンピック・パラリンピックに向けて、日本の伝統文化体験を盛んにやっている。
つい先日、プロの三味線奏者に来ていただき、生で演奏してもらったり、実際に子どもが演奏の体験したりした。
どの子も三味線の演奏なんて聴くのは初めてで、何が始まるのか不安そうだったが、男子はカッコいい演奏にホレてしまったらしい。


そんな時に、音楽好きな男子が
『僕とデュエットしてください!』
と、お願いしたのだった。
ちなみに、その子は松山千春の曲をオーダー(笑)
講師もさすがプロ!即興で三味線で松山千春の曲を弾いてくれ、それに合わせて気持ちよく歌っていた(笑)
ほかの子どもたちもさらに盛り上がり、初めての三味線体験は大成功だった。


私のいる学校は耳が聞こえない子どもたちが通う学校である。
だから、三味線の演奏に聞き惚れたり、三味線に触れ楽しんだりできるだろうか?
そんな不安もあった。
しかしそんな不安は不要だった。


未来がある子どもたちには、障害があるなしに関係なく、世界に三味線の魅力や日本の伝統文化の素晴らしさを伝えてほしい。
そして、耳が聞こえなくても、そんな障害なんて気にせずに世界に羽ばたいてほしい。

そんなお手伝いができるのが、我々大人の仕事である。


一号館一○一教室

とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍