【新型肺炎緊急企画】「漢字一文字に込めた想い」〜一号館一○一教室より、中国の皆様へ〜

未曾有の病が、中国を始め、世界に蔓延しはじめています。

私たち、一号館一〇一教室では、緊急性と重要性がとても高いと判断し、本企画を立ち上げました。


中国の人へ、私たちらしい支援のしかたを話し合ったところ、中国と日本をつなぐ文化として、「漢字」があり、わかりやすいメッセージとして漢字一文字に、私たちの想いを込めることにしました。


メッセージを込めた漢字一文字に簡単な解説を添えて、電子書籍として出版し、その売上を全額中国に寄付します。


以下に、私たちメンバーの想いを綴りました。


本企画にご賛同いただける方は、漢字一文字と200文字程度の解説文を添えて以下のフォームから送信してください。

皆様からいただきました、原稿を編集し、電子書籍として出版したのち、中国語に翻訳し、中国語版は電子書籍として無償でダウンロードできるようにします。


この企画のホームページのシェア、リンクは自由です。

ぜひ皆さんの想いをお待ちしています! 


【投稿締め切り 2020年2月29日(土)23:59】 


※追記

今回募集したところ、一定数の応募がなかったため、残念ながら、電子書籍にはできませんでした。

応募いただきました、3名の方の記事をここに掲載いたします。

本企画にご協力いただきました、すべての皆様に感謝の意を表します。


ー号館一〇一教室 メンバー 一同



同 

岩城浩之


周りの人と自分とは、違うことを探すより、同じことを探すほうが良い。同じ時代を生き、同じ管を生き、同じ空気を吸っているのだから。 



日式雨合羽


年が若いことを示す「若年」という言葉がある。これは「弱年」という言葉の言い換えである。  


もともと年が若いことを「弱年」と言っていたのだが、これは当時の日本人の感性には合わなかったのだろう。 「若」と「弱」は発音が同じであったため、可能性を示す「若」へと言い換えたのだ。 


「若(も)し……」という言葉には未来がある。可能性がある。だからでこそ、若き者達が「弱き者」であってはならないと私は思う。 


下坂範明


 「明(あかるい)」という文字が好きです。 

というか、ここ数年好きになっていった漢字です。 

祖父が、僕の名前に入れてくれた文字であり、最近自分にじっくり向き合う機会が出来た際に、自分の名前と向き合い、どんどん好きなっていった文字です。 

日に、月、で明るい。 

一日中地上を照らしている太陽と月。晴れてるときはもちろん、雲で隠れて見えなくても変わらずそこにあって輝き続けている、その二つを合わせて「明」。なんだかハッピーになれそうな字だと思っています。 

この漢字を使った言葉と云えば、「明日」。この明日という言葉も好きです。「明日」=「明るい日」と呼ぶと前向きになります。人生が辛かった時に、これが自分と向き合う機会だったのですが、「明日になれば、明日になれば」と自分を励ましていたことも、「明日」=「明るい日」という気持ちがあったのかもしれないと、今になって心から思います。 

どんなに辛い時も、いま世界が向き合っている困難な状況も、明日は明るい日だと私は信じております。 

みんなが笑顔で明るい日をむかえられるように願いを込めて、私は「明」という文字を贈ります。




風(ふう)

真南風


2000年3月に大学の卒業旅行で、中国を訪れました。
初めての海外旅行。
3月はまだ肌寒く、天安門広場を吹き抜ける風がとても冷たく乾いていて、大陸の風と島国日本の風の質が違うことに驚きました。
社会人になって、代替医療に興味を持ったことがきっかけで、漢方の勉強をする機会がありました。
漢方(中医学)では、風邪は体の中に「風」の「邪気」が発生すること、すなわち「風邪(ふうじゃ)」という捉え方をするそうです。
「風(ふう)」の性質は、よく動き、よく変化し、最も広い範囲に流行し、季節や気候にともなって、流転します。
はやく春風が来て、この世界的な風邪が、霧消し、転化することを祈っています。




本(ほん)

黄 文葦

 
 私は「本」という漢字が好きだ。20年前、中国から日本に上陸した。20年間、ほとんど毎日、「日本」を書いている。心底に、「日本」がだんだん刻まれてきた。そして、日本語と中国語で話すと書く。日本と中国の間に生きる。
 また、書籍(しょせき)である本(ほん)が好きだ。鞄の中、いつも一冊の本を置いてある。本屋さんの前に、大きな漢字「本」が書かれてある。その「本」をしばらく凝視したら、塵世を忘れて、「象牙の塔」を想像する。
 本は「もと」のこと。草木の根、大切な部分、要点である。大人として、「基本、本来、根本、手本」などのいろいろな「本」を覚えなければならない。
 「以人为本」という中国語の言葉がある。人間本位、人間性を重んじる、人をもって基本とすると意味する。「権力者たち、『以人为本』を忘れないでください」、2020年のはじめに、最も叫びたい一言…




「繋」

子持ちコンブ


まだ恐竜が生きていた時代、中国大陸と日本列島は一部で繋がっていました。
その証拠に、中国大陸で見つかる化石と日本で見つかる化石で共通した特長が見られることも少なくありません。地図をじっくり見てみれば、海岸線から列島と大陸が繋がっていた悠久の名残を見つけることができます。
今では海が横たわり、その間に国境が引かれています。
とはいえ、人と人はその境目を飛び越えて行き来しています。交通だけでなく、通信の発達によりその距離は大昔よりも近くなっているのではないでしょうか。
例え国と国が離れても、人と人は離れることがないように。かつて大陸が一つに繋がっていたように、心の手と手は繋いでいたい。

病に苦しんでいる人たちの回復と、一刻も早い事態の収束を、かつての大陸の片隅から祈ります。



温(おん)

堀間ロクなな


わたしは「温」の字を挙げます。「三寒四温」。本格的な春の到来を前にしてせわしなく寒暖が入れ替わるのは、人生に譬えたら青春の時期のように、明日に向けてコンディションを調えるためのものでしょう。したがって、そのころ病気に見舞われがちなのも天の配剤なのかもしれません。「温故知新」。こうして歩んできた人類の長い道のりに学んで、目下の新型肺炎という厳しい試練に対しても将来への大いなる糧と受け止め、ともに手を携えて立ち向かっていきたいものです。病気に国境はないのですから。



「青」

天野 歩実


見えない敵は手強いけれど、未来への望みを忘れず、共に戦っていきましょう。
  私の祖父は、かつて中国某地域の駐在員でした。
たまに帰国すると、青い箱に古い建物の絵柄が入ったお菓子をくれたことを覚えています。
それは口に入れるとさあっと溶けて、ミルクとザラメを混ぜたような味がしました。
あのお菓子は何という名だったのか、そして箱に描かれていたのはどこの絵だったのか?今となっては調べようもありませんが、私にとっての中国は、青空の下日々景色の変わり行く、エネルギッシュで、しかしどこかエキゾチックさも残した国です。
  私は、まだ中国に足を踏み入れたことがありません。それでもいつかは、私も祖父のいた場所に。そんなことを想いながら、今日も東京で空を眺めました。
中国で見る青空と、東京で見る青空は、どんな違いなのでしょうね。
この戦いが終わったら、ぜひ語り合ってみたいですね。



「欲」

なおこ おーつ


私は、中国の皆さんに対して、日本人としての謝罪の思いを込めました。
今回の問題に対し、特に日本人は仮想的有能感が高いと言うべきか、中国渡航者というと直ぐにネットを通して「出ていけ」と叩いている人が多いと感じました。もちろん予防もせずに、日本だから安心だ!と我が物顔で答える中国人にムッとする気持ちも分かります。しかし、遺族となった家族がもし知人だったら?感染患者が友人だったら?
今1番苦しんでいる人は誰かと考えたら、やはり感染患者なのではないかと思います。日本のフリマアプリでは、百円単位のマスクが2万超えの値段で取引され、相手はきっと同じく日本人なのでしょう。
私欲にまみれず、感染患者を思いやることで、予防に必要のない格差や差別を感染症と共に減らすことができるかもしれません。私たちに今出来ることを探します。



「共」



石川龍

先日の座談会で、感染した客船の乗客の入国を拒否した件について国と国の間で壁を作っていてはいけないね、という話がありました。
規模こそ違えど、会社内の部署と部署の理不尽な対立だったり、友達同士の派閥だったり。健全でない競争に得るものはないと考えます。
そのために、皆が手を取り合って、共に歩いていけたら。理想に過ぎないかも知れませんが、そう思っています。


一号館一○一教室

とある大学の学生記者・カメラマンOB・OGによる先駆的Webマガジン     カバー写真:石川龍